客に口説き方を指南される
どうすんだ、いったい。
ああ、年の功、私と同じくらいの年齢の娘がいるお客さんは、あまり、このような人生を歩んでいる人を身近に見ないようで、うっすら心配なのか、会うたびに、どうすんだ人生、の話題が上るようになりました。こんな歳になって、ふらーと。ふらーとしか見えないのでしょう。彼の心配と、私の未来への不安が、必ずしも一致しているとは思えないけれど、そういったこころ使いはありがたいものです。あまり考えなしに、ついそんなことを話題にしてしまう人の良さも出ています。
私は長期にわたった、具体的な計画を未だに思い描くことができず。そういった問いには、身が縮こまります。
どうすんだ、いったい。イエッサー! イエッサーとは受け答えてないですが、ここでは私にとっての質問の厳しさをあらわす記述となっております。
食べていけるだけの仕事を身に着ける気はないのか。イエッサー! 今までのようにはいかなくなる。イエッサー! おまんの人生やし、おまんが真剣に考えんといけんのや
。イエッサー---!
答えられる質問もなく、かぼそく、唯一言葉にできるだけかたまっていること、かぞくがほしい、です。と、つい最近芽生えたばかりの、でもとても長いあいだかけておそるおそる、かたちをあらわした願望を口にしました。
彼は、一応、私の幸せを願っているので、彼なりのそれにいたる道を想像し、それは、意中の殿方を口説くことだとの結論に達したよう。話は口説き方指南になりました。
誰かこれ、という男はおんのか。さすがにこの質問には、この期に及んでも仕事中、もぐもぐと言葉をにごしました。
誰か、これっていう男があらわれたらや。おまん、ちゃんと気持ちを伝えるんや。い、いえすさー?
いろいろな意味で、この場でこんなアドバイスをうけるとは。
気持ちを、まっすぐに伝えることが大事だ、と重ね重ね念を押します。
花を。花を贈ったり。
はな。花ですか。厳しい人生指導にはちぐはぐな展開。昨今、ともに歩くパートナーを口説くのに花を送ることははたしてどれだけ有効? しかし、それならわかる。とても大事だ。
好きな人に真心を。
イエッサー。
好きな人に花を。
イエッサー。

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